小説に興味を持ってから人生が楽しくなった

読書が苦手だった私が、五十歳を過ぎてから、急に読書が好きになった。そのおかげで人生が豊かになった気がする。これからもっと読書が好きになれるように、人生が楽しく豊かになるように

小説を読もう「13階段 高野和明」の言葉表現

小説が好きで、気に入った表現を仕方まとめただけの資料です。

「顔を上げなさい」やがて光男が言った。その震える声には、憤怒を必死に押さえている努力が窺えた。「そちらの謝罪はゆっくり聞こう。中に入りなさい」

それから十分後、純一はようやく、佐村製作所を出た。全身が疲れきって、道の反対側に止まっている車に行き着くのも億劫だった。助手席のドアを開けて中に転がり込むと、大きなため息が口をついて出た。

「あれが雇い主だ」南郷は言って、セダンのすぐ後ろに車をつけた。
二人が路上に降りると、セダンからもスーツ姿の男が出て来た。年齢は五十過ぎ、くたびれたネクタイが、風にそよいでいる。濃い眉の下には、愛想笑いを繰り返して刻み込まれたような皺が何本も走っていた。
「お待たせしました」
南郷の挨拶に、男の顔の皺がそのまま愛想笑いを形作った。「こちらも今、来たところですよ」

「事件そのものは、そんなところでしょうか」杉浦弁護士は言葉を切り、煙草をくわえた。

「まずはー」杉浦は煙草に火をつけて喋り始めた。

「杉浦先生が始めた仕事にしちゃ、報酬が高過ぎると思ってたよ」南郷は、冗談まじりに笑って見せたが、杉浦へのかすかな疑念は目の隅に残っていた。

「なるほどね」南郷は言って、鼻を鳴らしてため息をついた。そして気持ちを切り替えるように、「さて」と言うと、明るい表情を作って純一に訊いた。「何から手をつける?」

時刻は午後一時半、傾き始めた日の光が、周囲の、新緑を逆光で浮き立たせている。淡い光の中に建つ木造家屋は、時の流れに取り残された古代の遺物のようにも見えた。

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