小説に興味を持ってから人生が楽しくなった

読書が苦手だった私が、五十歳を過ぎてから、急に読書が好きになった。そのおかげで人生が豊かになった気がする。これからもっと読書が好きになれるように、人生が楽しく豊かになるように

長~い友が去る

「俺もそろそろ、ここから去ることにするわ」

「えっ、先輩も去ってしまうんですか、みんな居なくなって寂しいです。もう少し頑張って下さいよ」

「ここは居づらくなって、そろそろ限界なんだ。お前も無理してるんだろ。体が真っ白になってるぞ」

「確かにきついですが、ご主人の為に頑張らないといけないし、コウケイシャを育ててから去るべきだと思っているんです」

「コウケイシャかぁ、本当に育たなくなったな。昔はここも環境が良かったし、コウケイシャもすぐに育ってたのにな」

「なぜ、こんなに環境が悪くなってしまったんでしょうか」

「ご主人のストレスや栄養バランス、疲労、老化、他にも原因はいろいろあると思うけどな」

「もう一度、昔のような居心地の良い環境に戻らないでしょうか」

「もう無理だろ、ご主人があきらめてるようだし、最近は俺達のことを見ることも触ることも無くなったよ」

「それは、僕もうすうす感じてたんですけど」

「うすうすか、ハハハ、ご主人も今はうすうすだな、ハッハッハ」

「笑いごとじゃないですよ」

「もう笑うしかないだろ。俺達はもう必要とされてないんだから」

「そんなことないですよ、ご主人は僕達を必要と思ってますよ」

「お前は甘いよ、俺達が必要とされてたのは遠い昔のことだ。その頃のご主人は俺達が少し乱れただけでも気にかけてくれたし、俺達の仲間が減ると心配して薬もつけてくれた。今のお前のように白くなると気にかけてくれた。でも今は何もしてくれない」

「でも、僕達にはご主人の頭を守る義務があるじゃないですか」

「俺達がご主人の頭を守った記憶なんてほとんど無いだろ。俺達の役目は、ご主人が女の子にモテたいとか老けて見られたくないとか、ご主人の外見を魅せる為だけだったんだ。ご主人にその気がなくなったら、終わりなんだ」

「ご主人がもう一度、女の子にモテたいとか、若返りたいとか、外見を気にしてくれないですかね」

「もう無いんじゃないか、面倒くさがってるよ」

「そんな老け込む歳でもないと思うんですけど」

「そうだな、まだまだ元気で頑張ってほしいよな」

「ご主人の元気を取り戻す方法はないですかね」

「無いな。ストレスで仕事は辛そうだし家族と会話もないし休みの日も寝てるだけだ。ご主人にカミったことでも起こったら別だけどな」

「カミって僕達のことですか」

「違うよ神だ、髪じゃない。ご主人に神ったことが起こると、ここの環境が良くなるかもしれない」

「神ったことって、どんなことですか」

「そうだな、ご主人が出世して仕事に張り合いが出来るとか、奥さんと昔みたいにラブラブになるとか趣味にハマるとか……」

「ご主人を見てる限り、神ったことは起こりそうもないですね」

「そうだろ、だから俺もそろそろ去るわ。お前も早くあきらめた方が楽だぞ。それじゃあ」

「えー、先輩行っちゃうんですか。あっ僕もヤバイ。ご主人、そんなにきつく頭を洗わないで下さい。頭皮を優しくマッサージするように洗ってよ。あーもうダメだ、流される。こんなんじゃ後毛者も育たないよー」