小説に興味を持ってから人生が楽しくなった

読書が苦手だった私が、五十歳を過ぎてから、急に読書が好きになった。そのおかげで人生が豊かになった気がする。これからもっと読書が好きになれるように、人生が楽しく豊かになるように

小杉健治小説を読もう「最期」

最期 小杉健治

小杉健治さんの作品はこれまでに三冊、
「父からの手紙」
「絆」
「疑惑 裁判員裁判」
を読みました。どの作品も良かったので、小杉健治さんに、どっぷりはまってしまいました。
これまでに読んだ「父からの手紙」では、父親の子供を養っていく強い責任感とそこまで親として責任を感じなくてもいいのではないかな?という、やるせなさを感じました。父親の子供への愛情に深く感動しました。
「絆」「疑惑 裁判員裁判」では、裁判のシーンが大好きで特に弁護士の尋問シーンには、のめりこんでしまいます。
この「最期」という作品も期待して買いました。弁護士は「疑惑 裁判員裁判」と同じ鶴見京介弁護士。若手で見た目は頼りなく見えるが「疑惑 裁判員裁判」では裁判が始まると鋭く切り込むシーンが良かったです。鶴見京介弁護士の活躍が楽しみです。


ホームレス岩田貞夫は荒川でホームレス仲間の男を撲殺したとして逮捕されたが、無罪を主張する。
弁護にあたる鶴見京介弁護士は岩田の無実を信じ裁判に臨む。

この裁判の裁判員に選ばれた貝原茂樹は、被告人が四十五年前、四日市の公害訴訟で祖父らと戦ってくれた、当時のヒーロー船尾哲三という男に似ていることが気になっていた。

昭和四十二年、貝原が十歳の時に貝原の祖父たちが公害で苦しみながらも泣き寝入りするしかないと諦めていた時、船尾が現れ、死ぬまで病院の世話になり、病院の窓から亜硫酸ガスを含む煙がもくもくと出るのを眺め、他の人もやがて同じ病気で死んでいく。そんなことでいいのかと叫ぶように言い、いっしょに闘おうと祖父たちを叱咤し、そして、大会社を相手に祖父たちと裁判で闘い勝訴したのだ。
空気がきれいな今の四日市があるのは、船尾のおかげだと貝原は思っていた。
船尾が熱心に公害裁判で闘おうとした理由は、喘息で亡くした恋人の敵討ちの意味合いがあったと思われていた。
しかし、船尾は四日市公害裁判に勝訴したのに、祝勝会にも参加せず姿を消してしまったのだった。
なぜ、船尾が姿を消してしまったのか、色々な憶測が飛び交うが、ずっと謎だった。
そして今、被告人として目の前にいるホームレス岩田貞夫が船尾に似ているのだ。もしこの被告人岩田が船尾なら、この裁判は無実であってほしい、そして四日市に戻ってきてほしいと貝原は望んだ。

そのことを鶴見弁護士に伝えると、鶴見弁護士は、ホームレスとなった岩田貞夫の捨てた過去について調査を始めた。
そしてわかった真実は? 船尾は裁判で闘った理由は本当に恋人の敵討ちの為だったのか、裁判勝訴のあと、なぜ姿を消したのか? 全てがあきらかになり感動の結末です。
鶴見京介弁護士は、「疑惑 裁判員裁判」にも出てくるのだが、外見は頼りないが、頭が切れて、正義感のある弁護士です。尋問シーンでは、的を得て鋭く切り込み気持ちのいい尋問をするので、読んでいて引き込まれます。
この作品では裁判の尋問シーンは少ないですが、この謎を推理していく正義感の強い鶴見弁護士に感動します。


最期 小杉健治

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