小説に興味を持ってから人生が楽しくなった

読書が苦手だった私が、五十歳を過ぎてから、急に読書が好きになった。そのおかげで人生が豊かになった気がする。これからもっと読書が好きになれるように、人生が楽しく豊かになるように

④「婚カツ屋」という名のちょっと変わった結婚相談所

f:id:sujya:20190510123450j:plain
sujya.hatenadiary.jp

島崎康史

 暗くて狭いエレベーターに美女と二人きり。エレベーター内は、いい香りが充満していた。この後のことを考えると体が熱くなり心臓が暴れた。エレベーターの階数表示を見ながら生唾を飲んだ。
 エレベーターの階数表示が①になり、ドアが開いた。外の空気が入ってきて、いい香りが逃げてしまった。薄暗く冷たい通路を抜けて外に出ると、西に傾きかけた陽射しに目をしかめた。一瞬、視界を失い右手で陽射しを遮り左側を見たら、焼鳥屋サチの前で大将とおかみさんが案山子のように立っていた。大将は腕を組んでニタニタと笑い、おかみさんは胸の前で小さく手を振りながら満面の笑みを浮かべていた。俺は軽く会釈し、ひきつった笑顔を返した。榊原さんは大将とおかみさんの方をみて首を傾げていた。恥ずかしくて少し歩みを速め、榊原さんより少し先を歩いた。すぐに榊原さんが俺に追い付き横に並んだ。ふっといい香りがした。香りを独り占めしようと鼻で大きく息を吸った。
「喉が渇きましたね」正面を向いたまま声を発した。
「はい、わたしも緊張して喉がカラカラです」少しハスキーで色気のある声に頭がクラっとした。
「駅の近くに喫茶店がありますから、そこで冷たいものでも飲みましょう」