小説に興味を持ってから人生が楽しくなった

読書が苦手だった私が、五十歳を過ぎてから、急に読書が好きになった。そのおかげで人生が豊かになった気がする。これからもっと読書が好きになれるように、人生が楽しく豊かになるように

小説に出てくる心に残った名言集 たまちゃんのおつかい便 森沢明夫

小説から学ぶ

小説を読んでいると、人生の教訓になるような言葉がたまに出てきます。主人公に向けて誰かが発したり、主人公が誰かに向けて発したりと、何気なくでてきます。
自己啓発の本を読んで学ぼうとした言葉より、小説にぼつんと出てきた言葉の方が、心に染み込んで、自分の宝物になることが多いです。


森沢明夫さんの
「たまちゃんのおつかい便」
より

たまちゃんの父親の経営する居酒屋の名前が『居酒屋たなぼた』。そのふざけた名前をつけた理由は?

「棚からぼたもちってのはよ、ようするに運がいいってことだべ? 運がいいってのは、神様に愛されてるってことだ。俺たちは毎晩、酒を喰らって、げらげら笑い合って、みんなと愉快にやってればよ、神様たちも楽しいのが好きだから自然と集まってくるわけさ。んで、結局、神様が集まるところにこそ、運が開けてくるってわけよ」
 みんなが楽しくて、神様も楽しんで、運が開ける場所にするー。

大学生活に何の目標や夢を持たず過ごしてしまったたまちゃんが、大学をやめて、おつかい便をやると決める。その時に思い出していた亡くなった母親の言葉

 命ってね、時間のことなんだよー。
 たしか小学六年生の頃に、母はわたしにそう教えてくれた。
 つまり、この世に「おぎゃあ」と生まれ落ちた瞬間から、わたしたちはすでに「余命」を生きていて、あの世に逝く瞬間まで「命」という名の「持ち時間」をすり減らし続けているというのだ。

たまちゃんが大学をやめておつかい便をはじめる前、淋しさ、不安を感じ、静子ばあちゃんに電話をした。その時、静子ばあちゃんからもらった言葉

「死んだおじいちゃんがね、よく絵美に言っていたことがあるの」
「えっ……」
 わたしのおじいちゃんが、お母さんに?
「人に期待する前に、まずは自分に期待すること。で、その期待に応えられるよう、自分なりに頑張ってみること。人にするのは期待じゃなくて、感謝だけでいいんだよーって」

たまちゃんが何の相談もせず勝手に大学をやめておつかい便をやることを謝った時に父親からもらった言葉

「人生っつーのはよ、たった一度きりの命をかけた遊びだからよ。何でも好きなことやったもんの勝ちだよな」

たまちゃんがおつかい便をやることに失敗するのを心配する古館にたまちゃんの父親が放った言葉

「ちげーよ、古館さん。そもそも人生に『失敗』なんてねえべさ?」
「え?」
「人生にあんのは『成功』と『学び』だけだって、死んだ俺の嫁さんが言ってたもんな。それによ、やりてえことをやんねえ人生なんてつまんねぇべ?」

都会に出て、辛い経験をした真紀は、田舎に帰ってひきこもりになってしまう。そんな妹を心配した姉の理佐が真紀にかけた言葉

「あたしの賢い旦那が言ってたよ。人生は振り子なんだってさ」
「振り子……」
「そう。人生で、何かでっかい不幸があったら、今度は、それと同じ分量だけ振り子は幸福の側に振れるんだって。だから真紀には、これから物凄くいいことがあっからね、期待してなよ」

幼なじみの壮介は、自分のやりたいことが出来ないで悩んでいる。そんな壮介に、たまちゃんは自分が大学をやめておつかい便をはじめる勇気を持てた理由を話す

「わたしが小学校五年生の頃だったかなぁ、お母さんと一緒にテレビアニメを観ていたとき、気の弱いキャラクターを見て、ポロッとこんなことを言ってくれたの。人生の『小さな冒険』に踏み出せない人って、『勇気』が足りないんじゃなくて、本当はきっと『遊び心』がちょっぴり足りないだけなんだよねって」
「遊び心、か……」
「うん、人生は、たった一度きりの『遊びのチャンス』なんだってさ。だから、未来を自由に楽しんで遊ぶ時間にしようと思えた人から『小さな冒険』の最初の一歩をひょいと踏み出していくんだって」

静子ばあちゃんが昔のアルバムを見ながら人生を振りかえる。アルバムに残された幸せな写真。その裏にはつらいこと悲しいこともあったと思い出した。

 いいことと悪いこと、すべてひっくるめてこそ、人生は絵のように美しく輝くのだ。写真や絵画が光と影で描かれるように、幸福と不幸は、人生をより美しく、深く、彩るための大切な素材なのだと思う。