小説に興味を持ってから人生が楽しくなった

読書が苦手だった私が、五十歳を過ぎてから、急に読書が好きになった。そのおかげで人生が豊かになった気がする。これからもっと読書が好きになれるように、人生が楽しく豊かになるように

おすすめ小説を読もう たまちゃんのおつかい便 森沢明夫

書き出し

 チ、チ、チ……と、薄暗い空間に秒針の音が響く。
 壁の時計を見上げると、夜の八時過ぎを示していた。
 遅いな。
 まだかな……。
 座り心地の悪いベンチに腰掛けたわたしは、薬品の匂いのする空気を深く吸い込んで、ため息をつく。

あらすじ
たまちゃんは大学を中退しておつかい便をはじめる。
そこで町の人に感謝され愛される。たまちゃんも町の人に感謝した。
たまちゃんの母親はたまちゃんが子供の頃、ダンプにはねられて亡くなっていた。父親はシャーリーンというフィリピン人と再婚していたが、たまちゃんはシャーリーンとうまくいかないでストレスを感じていた。
そんな義母と娘の関係や家族と買い物弱者をテーマにした作品です。
感謝やおもいやりといった生きるために大切なことを、それと家族への愛情をじっくり考えさせてくれる作品です。

第一章 血のつながり
葉山珠美は大学を中退して、起業しようとしていた。父親に報告しようと帰省したが、父親は背骨の腫瘍の除去のため手術することになっていた。報告は手術が終わってからすることにした。
シャーリーンはフィリピン人の義母だ。
シャーリーンと二人で病院から帰り実家で過ごした。珠美はシャーリーンのことを嫌いではないが、母親としては違和感を持ってしまう。
起業しようと決めたきっかけは、母方の祖母、独りで暮らす静子ばあちゃんだった。静子ばあちゃんは独りで暮らしているが近くに店が無く買い物するのが不便だと言っていた。青羽町も高齢化が進み、買い物弱者が増えている。そこで、その人たちの役に立ちたいと移動販売、おつかい便をやろうと決めた。
第二章 ふろふき大根
たまちゃんは、おつかい便の準備をすすめる。幼なじみに車をたのみ、友達にチラシを作ってもらい、移動販売を覚えるために、元ヤクザの古館に弟子入りする。準備は順調だ。
第三章 涙雨にぬれちゃう
ついに、たまちゃんのおつかい便がスタートする。みんなの協力のおかげで順調で、小さな悩みはあるものの楽しく過ごせている。青羽町のお年寄りの人気者になっていった。
第四章 秘密の写真を見つけた
おつかい便の応援をしてくれた壮介やマッキーも自分たちの夢を持ちはじめる。町のお年寄りも元気になった。みんなたまちゃんのおかげだ。たまちゃんもおつかい便は何とか頑張ってるが義母シャーリーンとの関係はギクシャク。そんな時、シャーリーンの昔の幸せそうな家族写真を見つける。写真に写るシャーリーンの家族はすでに亡くなっているのだ。
まだ、生きたい
この日のたまちゃんは体調が悪かった。休みたい気持ちもあったが、みんなが待ってくれているとおつかい便に出る。静子ばあちゃんに巾着袋の糸が切れたので裁縫をお願いに行く。静子ばあちゃんに体調を心配されるが、大丈夫といって出ていく。しかし、実はこの時、静子ばあちゃんも体調が悪かった。寿命ということだ。
たまちゃんは交通事故を起こしてしまう。でも死ぬわけにはいかない。シャーリーンに「ありがとう」も「ごめんね」も言えていない。まだ、生きたい。
かたつむり
たまちゃんのおつかい便は交通事故で車がなくなりしばらくは出来なくなりました。
それに、たまちゃんは静子ばあちゃんが亡くなったショックから立ち直れていない。シャーリーンとの関係も一段と悪くなる。
しかし、最後はほっこりと感動するお話です。
おつかい便の二代目の車に描かれたイラストが、かたつむり。それはシャーリーンがたまちゃんに二度と事故を起こしてもらいたくないとの思いから提案したようです。