小説に興味を持ってから人生が楽しくなった

読書が苦手だった私が、五十歳を過ぎてから、急に読書が好きになった。そのおかげで人生が豊かになった気がする。これからもっと読書が好きになれるように、人生が楽しく豊かになるように

有川浩さんの旅猫リポートに出てくる表現、描写



 教室がざわめき、美人な担任の笑顔には動揺の大きな亀裂が入った。


 午後の授業中、暑いなと思って校庭にふと目をやると、地面にゆらゆらかげろうが立っていた。
 もう真夏日の予報が出ることも珍しくない季節である。

「親の離婚なんてよくある話だもんな」
 軽い口調で言おうとしたが、声のしっぽがわずかに震えた。

 食べて跳ね回って電池が切れたようにところかまわず寝オチするお年頃だ。

「ありがとう、ばあちゃん」
「かまやしないよ」
 祖母はにこにこ笑ってそう言った。
「あんたたちが何の理由もなく決まりを破ったりするわけないからね」
 ぐぅっと喉に柔らかなかたまりが詰まった。


 小さな嘘を吐(つ)こうとしたが、気持ちがガラスの粉を吹いたようになった。怪我をするほどてはないがざらざらして、結局こらえきれない。

 夕日の峠を一つ越えるとまた人里戻ってくる。辺りは刻々と暗くなり、夜と追いかけっこのように銀色のワゴンは夕闇の中を進む。

 浅い弧を描く虹の足はしっかりと丘を踏みしめている。その弧を追っていくと、もう一方の足も別の丘を踏みしめていた。

 悟は何も悪くないのに、叱りつけるようにそう言った。脳が焼けて抑制が利かない。


 子供を持つ夫婦がみんなお姉ちゃんたちみたいだったら、こんな事件は起きないのに。
 言ってしまってから背中を冷たい汗が流れ落ちた。 ーー姉は子供ができない体質だということが結婚してから分かった。

 どうして相談してくれなかったのか、と責める恋人に、自分の甥のことだから相談する必要はないと思った、と答えた。
 その瞬間、恋人の表情にシャッターが下りたのが分かった。

 いよいよか。鉛のかたまりを飲み込んだような気持ちで、横殴りの雪の中を病院へ向かった。